2015.04.01

【後編】“媒体社”のビジネスを飛躍させるのが我々のミッション―CXENSE江川社長インタビュー

アドテクを中心として広告業界のトレンドについて発信をする『DAC AD TECH BLOG(アドテクブログ)』。今回は、CXENSE日本法人の代表でいらっしゃいます、江川社長へのインタビュー内容の後編をお届けします。(前編はこちらから)
後編では、現状媒体社が抱えている問題や、その解決策についてご意見を語って頂きました。

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―貴社製品は海外でも多くの媒体社に利用されていますが、日本と海外では、各企業が抱えている課題や悩みという観点で、それぞれ同様なのでしょうか。それとも異なるものなのでしょうか?
媒体社が基本の課題としているものは各国どこも同じで、「媒体の収益・価値を上げていきたい」というものです。海外で積極的にやっているところでは、「データを活用して、媒体の価値を上げていく」ということですね。価値を上げることで、広告商品単価アップにつなげています。
日本の場合は、媒体社とお話をしても「なかなか単価を上げることが難しいよね」という話になっています。では何ができるのか?
1つデータを見ていただきたいのですが、こちらは、米国の新聞社の売上数値のデータなのですが、印刷物での広告収入は年々落ち込んでいることがわかります。では、オンラインでは上がっているのか?というと上がっていない状態です(図1)

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―NY TIMESのオンライン広告収入の推移(図2)をみると、増えるどころか年々減少していますね。
そうなのです。広告出稿の考え方が「面」から、「人」も重要視されてきていることにより、これまでと変わらずに純広告やADNW(アドネットワーク)、SSP(サプライサイドプラットフォーム)を回しているだけでは、売上を維持することも難しくなっています。また、ADNWに任せておけばいいだろう、SSPに任せておけばいいだろう、というのは従来の指標だと考えています。ADNWやSSPを中心に回すことは、それはそれで良い部分はありますが、もっと掘り下げるためには、もっとコンテンツを閲覧しているユーザーと触れ合って、いくことが必要ではないでしょうか。広告主との関係値も築けないことも、弊社は問題として考えています。

※図1:参照元
※図2:参照元
 
―媒体の収益を上げるためには何をする必要がある、とお考えでしょうか。
純広告や単価を上げて収益を作っていくことが必要です。ADNWやDSPなどのOpen Exchangeですと単価が安くなってしまいがちです。そのため弊社としては、コンテンツを閲覧いただいているユーザーのデータを持つことで媒体としての価値を高め、広告主が買いたくなる「価値ある純広告メニューを作る」ことで、少なくとも純広告を守りましょうということを提案しています。

また弊社としては、「コンテンツを単純に載せればいい」ということではなく、記事までの導線や媒体社のブランドを作ることを考えると、コンテンツを見てくれているユーザーはどんな人なのか?という情報を広告主の方にも共有すべきではないか、と考えています。通常、純広告の掲載結果として広告主に展開しているのはIMP数、クリック数だけのところが中心になっているからです。CXENSEを活用いただくことで、ユーザーの地域やアクセスしているデバイス、興味・志向や、媒体社でお持ちの1stParty Dataと付け合せてデータを見ることが可能ですので、より具体的かつリアルタイムにユーザーを把握することが可能になります。また、広告主向けのレポーティング等にも、その点をご活用いただけると考えています。そのデータを貯めこむための器がEIEやDMPで、ここがスタートポイントとして考えています。

 
―CXENSEは媒体社のためのサービスとのことですが、収集されるデータはどのような扱いになるのでしょうか。
収集したデータはCXENSEのものではなく媒体社のものだ、と常にお伝えしております。クラウドをベースにビジネスをしているため、媒体社からするとデータを預けている認識になっていますが、基本的には媒体社に自由にご利用いただけることをポリシーとしています。我々は他社とは異なり、媒体社のデータを解析して、例えば外部に販売をしたり、そのデータを元に、自ら広告展開をしたり、ということは絶対に行いません。また、個人情報となる情報は保持しないということがポリシーですし、なくてもできることはたくさんあります。
我々が「データは媒体社のもの」と言い続けている理由として、本来媒体社が得るべきである収益の部分が取れなくなり、さらにデータまでも吸い取られてしまい、結果として何も残っていないというところが見受けられ、媒体社として危機的状態といえるのではないかと思っています。

検索エンジンやトラッキングツールなど、関連するサービスを通じて結果的にデータを渡してしまうことで、媒体社の自身のビジネスに貢献しないという事ではなく、媒体社のユーザーデータをしっかりと蓄積し、その情報をきちっと使っていくということが大きな価値なのです。それがCXENSEとしてのスタンスです。
 
他のサービスは、情報を持つことによって様々なターゲティング広告やサービスを開発できていますよね。たとえばGoogleやFacebookは様々なサービスを開発して業績を伸ばしており、データさえあればなんでもできる、という状態になっています。
Google Analyticsは無料で使うことが可能ですが、データとしてはGoogleに蓄積されGoogleが持っているデータとなります。自分たちで貯めることができているわけではありません。CXENSEは、自分たちでデータを貯めることができます。

 
―媒体社への導入を進めていくにあたり、今まで貴社がご苦労された事はどういった点になりますでしょうか?
そうですね、弊社のサービスは製品が完璧であるか、というとそうではありません。日々進化、改善というのを繰り返してきています。サービス提供開始当初は、クライアントの媒体社が「やりたい」といったことがAPIレベルでできるかというと、正直なところ出来ないことが多かった。クライアントに要望をいただいて、本社にフィードバックを行い、デリバリーする、というのを繰り返してきました。こうしたリクエストはヨーロッパのユーザーやその他の海外のユーザーと比較すると、日本のユーザーの方が、要求レベルが高いですね。ですから、R&Dも日本の声をしっかり聞いていくという体制を作っています。他の外資だとなかなか難しいのではないでしょうか。日本は事業開始当初から強化していますから、今はフィードバックできるパスをしっかり持っています。
 
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弊社としては、まだまだ、チャレンジしなければいけないことや突き詰めなければいけないことも多いですが、引き続きやっていくというところです。苦労もありますが、満足して貰えるものをつくっていく体制というのを持ち、提供しつづけることが引き続き日本のオフィスを置いている価値だと考えています。日本は非常に進んだマーケットだと感じています。新しく開発したものを、日本で最初に使う、世界初というものも出てきています。私としては、どんどん日本初で新たな事例を作っていくことが出来れば非常に面白いのでは、と考えていますね。

 
―この度、DACとパートナーシップを築かせて頂いておりますが、弊社に期待する点はどういった点になりますでしょうか?
媒体社の体制として、広告を取ってくる一連の流れを、媒体社が自分たちで運用しているケースは数媒体しかない、と考えています。弊社のサービスは「テクノロジーとしてはいい」と言っていただけることが多いのですが、テクノロジーを誰が運用しているのかというのは、技術的にやりたいことを支援していくということだけではなく周辺の支援がないと難しい、というところがありました。その点、DACは媒体社各社とメディアサービスやテクノロジーサービス、オペレーション支援の分野で密接にお取引をされていますし、営業支援や広告商品の企画立案など、媒体社と並走してビジネスを進めているというところがありますよね。そういった会社と組ませていただくことで、我々のテクノロジーをもっと使って貰いやすい環境をつくっていけるのでは、と考えています。
これまでパートナーシップをやってこなかった理由の一つとして、弊社は日本市場においては、マーケティング活動に大きく力を割けなかったということがありますが、現在、日本支社も5年目に入り従業員が10人を超えるところまで来て、ビジネスとしてもう少し拡大していこう、という第2フェーズに入った形です。
これまでリーチできていないところ、DACがすでに関係を持たれている大手の媒体社やそれ以外の媒体社にも展開したい、と考えています。いきなり風呂敷を広げる、というものではなく着実にやっていく、というところですね。
 

―弊社としては、オペレーションの部分でもパートナーシップを生かせるのでは、と考えています。
まさにそうで、媒体社だけでは運用最適化が難しい部分もあると思います。おそらく、すべての広告をCXENSEで回す、となった場合はより必要になるだろう、と考えています。CXENSEを導入したあとに媒体社に対して、DACとしてオペレーション人員を出して、サポートしていくのが必要なのではないか、と考えています。きちんと使ってもらえるために支援していくということは本当に重要で、導入当初のイメージと、使い込むとやりたいことが変わってくるケースも多いため、DACと協力してやりたいことが変わって来た際もサポートしていける体制を作れればと考えています。この点で、DACの持つオペレーションサポートの実績には大きな期待を寄せています。
 
また、弊社としては媒体社同士のつながりを一緒につくってほしいということを考えています。なかなか横のつながりで情報交換をする機会がないということで、CXENSEを導いただいている企業様が情報交換できる場として、『CXENSEユーザー会』を年に一度実施しています。会をきっかけにお互い刺激しあって、じゃあうちもこれをやってみよう、他社事例を参考にやってみたいという問い合わせも多く、他の媒体社様と情報交換して頂くことで導入を決めて頂いたりしています。
今回新たにDACとパートナーシップを組むことで、より日本の媒体社の成功につながるサービスを提供していきたい、と考えています。 

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江川社長、前編・後編にわたり、ありがとうございました。
 
今回ご紹介した内容にご興味を持っていただいた方は、以下よりお問い合わせください。
 

 

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