2015.04.17

スマホ広告に懸ける想い―対談:リッチラボ鈴木辰顕社長×DAC北村

アドテクを中心として広告業界のトレンドについて発信をする『DAC AD TECH BLOG(アドテクブログ)』。今回は、リッチラボ株式会社代表取締役社長鈴木辰顕様と、弊社スマホリッチメディア広告配信プラットフォーム「Crisp」担当である北村の対談の様子をお届けします。
それぞれの事業内容についてご説明頂いた上で、スマホリッチメディア広告の現状やトレンド、今後の展望について、ディスカッションして頂きました。
 
top_suzuki1
————————————————————
 
DACとリッチラボの、
スマホ広告事業をスタートさせた経緯、取り組み内容について

 
北村:リッチメディア広告とは、音声や動画など、様々なメディアを駆使して表現する広告のことを指しています。Flash、HTML5、動画等を使うことで、多くの情報をさまざまなユーザーの感情に訴える事が可能となります。そのため、PCへの広告配信については、プレミアムな広告メニューとして、広く利用されています。一方、スマートフォンに関しては、これまで、回線速度や端末の処理能力の関係からあまり普及が進んでおりませんでした。このスマホリッチメディア広告をいち早く日本の市場に普及させていくため、DACでは2012年から「Crisp(クリスプ)」の取扱いを始め、リッチメディア広告事業を展開することとなりました。リッチラボ様はどのような経緯で事業をスタートされたのでしょうか。
 
鈴木:リッチラボは、Yahoo! JAPANの企業内企業家育成プログラム「スター育成プログラム」で生まれました。「Hack Day」という開発イベントで選考されたのですが、この「Hack Day」は元々米国ヤフーで行われていた社内イベントで、Yahoo! JAPANの社内でも6年以上続いているイベントです。今までは、なかなか大きくマネタイズできるプロダクトは出てきていなかったのですが、代表取締役社長が宮坂に変わった段階で、このイベントで事業を生み出すという目標が生まれました。「Hack Day」でいくつかのプロダクト候補が選出され、かつ本当にマネタイズできるか半年間精査された結果、弊社が「Hack Day」の第一号ベンチャーとして2014年の9月に誕生致しました。Yahoo! JAPANがスマートフォン施策に取り組んでいくという方向性と一致したこともあると考えていますが、以来、スマートフォン向けリッチ広告の販売・開発事業を展開しています。
 
北村:リッチラボ様のスマホ広告事業に対するお取り組み内容や方向性は、どういったものになるのでしょうか。
 
鈴木:まず命題として、我々はスマホ広告市場のimpression単価を上げる事を掲げています。スマホ広告はもともと、単価が純広告よりも低いADNW(アドネットワーク)広告からスタートしました。この単価に引っ張られ、impression単価もなかなか上げることができていないのが現状です。またADNWは広告効果で評価されやすい(クリック数やCV数など)こともあり、そもそもこの課金形態が浸透しにくいという側面もあります。PCではimpression数で評価をされている広告が多数ありますが、スマートフォンではそれがまだ不十分です。
媒体社様からすると、ユーザーが普段利用しているスマホでの広告収益を向上させたいのにあまり収益が見込めない状態であるので、それを変えていきたいと考えています。
 
center_suzuki
 
北村:弊社でも同じような課題感を持っていて、媒体社様の収益向上化を図るためには、スマホ広告市場の単価をあげることが必要不可欠と考えています。弊社のCrispの取り組みとしては、CrispをASP(Application Service Provider)導入させていただき、普通のサーバではできないようなリッチな表現を簡単に展開できることを可能とすることで、媒体社様のリッチメディア広告の商品開発にご協力させていただいています。スマホリッチメディアを配信可能なプラットフォームを広く普及させることで、市場の単価をあげていければと考えています。
リッチラボ様は具体的に、スマホ広告市場をどのように変えていこうとお考えなのでしょうか。
 
鈴木:現在のアドテク市場ではフロントエンドよりもバックエンド、つまり、配信をどのように行っていくかに注目されていると感じています。先ほどのお話にもありましたが、バックエンドを注力している分その結果が数値として求められていますので、DSP(Demand Side Platform)など数字重視の広告が際立ってきているのが現状です。しかし、フロントエンドの部分、表現の部分をよりクリエイティブにすることによって、ユーザーに与える印象やブランディングを図ることもできるのではないかと我々は考えています。そういったスマホ広告の活用のために、フロントエンドをより重視したスマホリッチメディア開発をメインの取り組みとしています。
最新の取り組み:リッチラボ、食べログにて「プライムウィンドウ」「バナープラス」などスマートフォン向けリッチ広告を配信開始
 
 
スマホリッチメディア広告の最近のトレンドについて
 
北村:Crispでは、最近は動画フォーマットでの案件が急増しています。背景画像と動画の2つを利用し全画面に展開するフォーマットなのですが、シンプルな動作ですがスマホ画面の中ではかなり目立つ広告になります。素材の簡単さと見た目のインパクトから、売れ筋商品となっています。米国でもスマホ広告は動画広告がリッチアドのメインになってきているようなので、日本でもやはり、スマホリッチに関しては動画がより強くなっていきそうです。一方で、動画ではないリッチアドとしては、Google Mapとの連携等、広告の中でユーザーが操作できる機能を持たせ、店舗に誘導するようなものも案件としては出てきています。鈴木様はスマホリッチアドのトレンドをどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。
 
鈴木:同じく、動画やネイティブアドにトレンドが寄ってきていると感じています。今では動画広告に興味を持っていただいているADNW会社様もいらっしゃいます。従来の方法だと、ADNWでリッチアドを配信すると単価が合わず、収益が見込めません。CPCなどの配信費を考えると、メリットはあまりないと考えられます。我々としては、impression単価での配信が可能になればより動画広告を配信しやすくなると思っていて、In view率(※1)を上げるようなフォーマットなどを提案しています。
※1 In view率…画面上に広告原稿の50%以上の面積が、1秒以上露出している率
 
北村:先ほど少しお話させていただいた通り、Crispの現在の動画フォーマットとしては、静止画と動画のシンプルな組み合わせが主流となっているのですが、リッチラボ様の広告フォーマットの中では、動画を活用したフォーマットにはどのようなものがありますでしょうか?
 
Crispフォーマット事例:インターステシャル
crispformat1
 
鈴木:弊社動画広告のフォーマットとして、バナーは画像でバナー上部に動画が貼られているという形は変わりませんが、ユーザーがスクロールすると動画は隠れ、バナーは残るような広告フォーマットです。動画広告はファーストビューに掲載されることが多いです。ユーザーがすぐにスクロールする場合、その動画広告の印象が薄くなってしまう可能性があります。それを解決すべく、ユーザーを邪魔しないような形で、かつその広告商品を忘れないようにしてもらう。結果的に、その商品を好きになってもらうような広告商品つくりを目指しています。

 
スマホリッチ広告で感じている課題について
 
北村:鈴木様は現在、スマホリッチ広告で課題と感じているものはありますか。
 
鈴木:そうですね、フォーマットの統一化は課題の一つだと思います。動画広告は、広告会社様にとって、テレビCMなどもともとある素材を再利用できるという点でも制作工数がかからず一般化してきたと感じます。一方、他リッチ広告フォーマットでは、スマホ広告用に別途素材を用意する工数が発生します。1つの広告配信のためだけに、新たな素材を制作するのはやはりハードルが高くなってしまいます。そのため、なるべく広告会社様に負荷をかけないような仕組み作りを心がけています。例えば、実際にご導入いただいている媒体社様にはレギュレーションシート(※2)を用意しています。レギュレーションシートでは表現できないような複雑なものについても弊社デザイナーが逐一対応しています。
※2 レギュレーションシート…スマホリッチメディア広告を制作するための規定を定めたシート。媒体社様のメニューはこのシートに従って開発されている。
 
北村:やはり、レギュレーションシートに落とし込めるかどうかが、日本ではポイントにはなってしまっていますよね。海外ではレギュレーションシートという文化が無く、テクノロジーベンダーが制作領域にも踏み込んでいます。広告会社様はクリエイティブを含めた動作全体を見て、OKかNGかを決定します。日本の場合だと広告会社様ごと、広告主様ごとにお取引されている制作会社様がいらっしゃることが多いため、制作領域に携わることはなかなかできません。そのためレギュレーションシートに落とし込めて、分かりやすいフォーマットが売りやすくなる傾向があります。
Crispはクリエイティブビルダー機能も並行して持ち合わせています。本来はこのクリエイティブビルダーの機能を利用すれば、かなり複雑なフォーマットでも簡単に制作して、簡単に広告として配信することが可能です。しかし、売りやすいフォーマットとなると、機能を制限して、シンプルなフォーマットを提供するかたちになってしまっているのが現状です。
 
migi_keisuke
 
 
両社の今後の展望について
 
北村:最後に、リッチラボの今後の展望について教えてください。
 
鈴木:今お付き合いのある広告主様と一緒に、魅力的なスマホ広告を制作していきたいと考えています。カンヌ広告祭等で取り上げられているようなウェブ広告は、PCでのリッチ広告が多いです。スマホでは、ビーコンを使ったキャンペーン等が注目されており、スマホ画面内で完結する広告の受賞は少ないと感じています。表現豊かな広告フォーマットを作成し、いずれは広告賞を受賞できるくらい、スマホ広告の可能性を引き出せたらと考えています。
 
北村:カンヌ、良いですね。私にとっても憧れの舞台です。Crispは表現の部分よりも機能の価値を上げていくところにシフトしようと考えております。外部APIとの連携やブラウザ外のアプリとの連携など、ブラウザで完結しないような、スマホが本来持っている機能もフルに活用した広告を作っていきたいと考えています。最終的には、鈴木様がおっしゃっているような表現の部分と、Crispの目指している機能の充実の部分両面を組み合わせることが、スマホリッチアドのゴールではないかと感じています。
 
鈴木:両者の強みを生かしながら、O2O施策等の広告案件でお取り組みできたらいいですね。米国や欧米のスマホ広告トレンドを後追いするだけではなく、よりユーザーに優しく、広告主様の商品価値を伝えられるような表現をしっかりと考えていく必要があります。我々が先陣をきって、日本のスマホ広告市場を積極的に伸ばしていきたいですね。
————————————————————
鈴木社長、北村さんありがとうございました。
 
▼ご協力者
・リッチラボ株式会社 代表取締役社長 鈴木辰顕様(HPはコチラ)
・参考ページ:リッチラボ スマホ広告フォーマット事例
 
今回ご紹介した内容にご興味を持っていただいた方は、以下よりお問い合わせください。
 

 

Facebook twitter