2017.03.10

キーマンが語る動画広告市場と業界の展望/DACメディアセールス局中本大介、プロダクト開発本部元嶋拓也インタビュー

今回は「ExchangeWire」にて掲載いただきました、ExchangeWireJapan野下による弊社メディアサービス本部メディアセールス局第四メディア部長中本大介とプロダクト開発本部アドプロダクト開発部元嶋拓也へのインタビューをお届け致します。直近の動画広告市場と業界の動向についてお話させていただきました。

左:中本、右:元嶋
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様々なプレーヤーが増加、Webの動画配信がより「当たり前」に
 
―まずはお2人の自己紹介をお願いします。
 
中本:メディアサービス本部メディアセールス局第四メディア部で動画広告関連の責任者をしています。YouTubeなど動画メディアの広告セールスや、ソーシャルメディア・アドネットワークなど動画広告全般の啓蒙などを行っています。
 
元嶋:プロダクト開発本部アドプロダクト開発部に所属しています。動画広告の自社商品の開発や、開発に至るまでのマーケティング調査を中心に行っています。
 
 
―2016年の動画広告市場を振り返って印象的だったこと、また、カオスマップに関連して特に大きな変化についてお聞かせください。
 
中本:メディア領域での変化では、プレーヤーの増加が大きな変化の一つと考えています。具体的には、NetflixがサービスインしたようにAmazonでもプライムビデオというSVOD、つまり定額制の動画が配信されるようになりました。また、各テレビ局のTVer※1でのサービス開始によって、従来のマスメディアもWebで動画配信をするのが当たり前になりつつあります。
 
広告面ではプレーヤーの充実に伴い無料動画サービスへの出稿が増えたのは印象的でしたが、インパクトのあったことでいうと、ソーシャルメディア(Facebook、Twitter、LINE)の本格的な動画対応です。それに伴い、動画広告が配信できる絶対量が増え、大きく二つ変化があったと思っています。一つはアドネットワーク事業者の拡大です。特にスマートフォンWEBサイトやアプリを横断して動画広告を配信できる、スマートフォンに特化したアドネットワークの需要は著しく拡大しています。もう一つは、MCN(マルチチャネルネットワーク)と言われる分野のインフルエンサーが誕生したことです。YouTubeのみならずソーシャルメディアでファンを多く抱えるインフルエンサーを活用するプロモーションのご相談を頂く機会も増えました。
 
 
元嶋:加えて、プログラマティック経由での広告取引も増えており、アドエクスチェンジの動画対応が広がる中で広告フォーマットに多様性が生まれていることも新しい変化です。特にスマートフォンでは縦型動画の対応が進んでいます。『C CHANNEL』※2では既に縦型フォーマットに対応をしていますが、アウトストリーム広告※3でも縦型動画のフォーマットに多様性が生まれてきているというのが直近の状況です。DACでも既にMarketOne®の縦型動画広告の他、メディアへの広告配信ソリューションをリリースしています。
 
※1:Tver(link)は2015年10月に民放が連携した初めての公式テレビポータル。各局の人気ドラマやバラエティを好きなときに無料で動画視聴が可能
※2:C Channel株式会社が運営している動画ファッションマガジン(link)。縦型動画を取り入れた先駆け的な存在としても、サービスローンチ当初から注目されている。
※3:ウェブメディア上の広告枠に配信される広告。一方でインストリーム広告はYoutube等のように動画コンテンツに挿入される広告を指す。
 
 
 
スマートフォンに最適化した縦型動画への対応
 
―縦型動画が普及するにあたって必要になってくる環境整備はどのようなものがありますか?誰がどのようなことをする必要があるのでしょうか。
 
元嶋:配信技術としては、弊社も含めて縦型への対応は進んでいます。ただ、クリエイティブの面で「縦型をどのように効果的に表現するのか」という点に関しては、これから進めて行く必要があります。
 
中本:縦型の動画広告素材制作は、コストの問題や制作工程に与える影響など、まだまだハードルが高いというのが現状です。しかしながら、メディア環境の変化や『C CHANNEL』の事業拡大など、縦型の需要自体が増えていくポテンシャルは感じています。「縦型と横型の動画でどう広告効果があるのか」という効果検証を行うケースも徐々に増えています。
 
 
―メディア側の動画広告に対する取り組みは、この1年で何か変化がみられましたでしょうか?
 
中本:変化が見られた部分としては、フォーマットと課金体系の多様化だと思います。課金体系もそれほど複雑化しているわけではないですが、「再生開始」または「再生完了」で課金しているものや、中にはディスプレイ広告に近いような「クリック課金」という方法を取っている商品もあります。概ねこれらの3つの課金体系が一般化されてきています。メディア自体が動画を作って配信する事業者が増えてきたので、その中で人気のあるインフルエンサーを活用する企業がナショナルクライアントを含めて徐々に広がってきています。
 
 
 
アウトストリーム広告は引き続き成長の一途
 
―今年はインストリーム広告に対して、アウトストリーム広告のシェアが大きくなりました。この傾向は続くと思われますか?
 
中本:そうですね、さらに需要は拡大していくと思われます。昨年、弊社におけるアウトストリーム広告の取扱いはインストリーム広告を超えるようになりました。また、広告フォーマットとしては、ソーシャルメディアのタイムラインで動画広告を配信するインフィードビデオ広告や、ページのファーストビューで動画広告を配信するインバナービデオ広告などの需要が増えています。それにより、ユーザーに対しどうアプローチしていくかプランを考える中で、アウトストリーム広告を活用してターゲットリーチを拡大させるという手法をご提案する機会も増えました。
 
 
―インストリーム広告とアウトストリーム広告は同じ指標で測るのでしょうか。もしくは、違うものとして見ているのでしょうか
 
元嶋:広告主や広告会社の中で、アウトストリーム広告はアウトストリーム広告の中で評価するように変わってきています。ビデオの同じ指標の中でもアウトストリーム広告に関する広告効果の知見やデータが蓄積されてきたので、その中で評価基準が出てきたのかなと。インストリーム広告とアウトストリーム広告の双方の効果で買っていく、というモデルも増えてきていると思います。
 
中本:動画というフォーマットで求められる共通の指標としては「リーチ」、そして「認知」が多いです。特に「認知」を最大化させる手段として、最近では動画クリエイティブを最適化するケースも拡大しています。インストリーム広告は動画コンテンツの視聴タイミングで接触するので、基本的にクリエイティブはTVCM素材がそのまま使われるパターンが多いですし、音声もオンの状態で接触することが多いです。
 

 
しかし、アウトストリーム広告は掲出されるメディアの特性により接触するタイミングが全く異なります。視聴者が移動中や仕事中など様々なタイミングで接触しますが、興味のないコンテンツについてはすぐスクロールしてしまいます。こうした視聴者の行動傾向を考慮し、TVCMとは異なる独自の動画広告クリエイティブを制作し配信するというケースも見られるようになりました。
 
媒体各社も、より伝わりやすいアウトストリーム広告クリエイティブのポイントを提唱されています。「あえて起承転結の結論を見せて冒頭からいかに興味を惹くか」ということや、「カット割りを細かく早くして内容を見てもらえるようにする」、「字幕を表示して音がない状態でも内容を理解できる仕様にする」、といった内容です。
 
 
 
メディア別の広告効果検証が重要
 
―媒体側の視点で何か変化はありますか?
 
中本:アウトストリーム広告の普及によって、動画コンテンツを持っていなくても動画広告を配信できる環境が整備されました。かつ動画広告はディスプレイ広告よりも高い単価で取引されるため、記事ページやタイムラインなど様々な場所で動画広告を配信するメディアが非常に増えています。中でも媒体各社は、スマホの動画広告をどう高単価に保つかというところを気にされていて、よくご相談を受けます。そのメディアでどのような広告効果が得られるのかということを検証していくことが重要だと考えています。
 
 
―デバイスの点では、PCからモバイルへのシフトが続いているようですが、「テレビデバイス」に対する業界としての見通しがあれば、お聞かせください。
 
中本:PCからスマホへの移行は、デバイスは確かに違いますが使っている人は同じです。ですので、テレビも「ブラウザの一つとして視聴する」という視聴習慣の変化になると思っています。他にも、デジタルサイネージと言われる看板広告のデジタル化により、様々な場所で動画広告にふれる機会が増えています。また、駅の柱巻広告を縦型動画広告としてWebで二次利用するなど、活用が広がっています。今後は人にフォーカスして、カーナビやスマートウォッチなどのデバイスを使って様々なシーンでアプローチする時代も近々来るのではないでしょうか。それに向けて「配信する技術の開発」や「指標、その効果検証をする」という二軸が重要です。
 
元嶋:将来像としてはスクリーンレスになるのではと思っていますが、その中間地点としてテレビやサイネージがあるのではないでしょうか。テレビについては、2014年から株式会社博報堂DYメディアパートナーズとDACでスマートテレビに関する取り組みを進めており、ミライテレビファクトリーともテレビデバイスに広告を配信する技術をリリース※4しています。
※4:スマートテレビのホーム画面上に動画広告を配信・掲載する新サービス 2014年2月21日より提供開始
 
 
―今は欧米と日本で、アドテクノロジーにしても技術や業界内のトピックスにしても、以前より差がなくなってきているように感じることが多いのですが、ことテレビに関してはまだだいぶ差がありますね。欧米ではテレビはプログラマティックTVなどが出ていますが、日本ではまだ見られないですよね。
 
中本:そうですね、日本ではまだ環境整備も法整備もこれからです。技術だけでは解決できない分野かもしれないですね。ただ、テレビに接する時間が世代によっては狭まっているという事実があるものの、昨年、ドラマのコンテンツが大きな社会現象になるまで広がるなど、テレビは依然として影響力の強いパワーのあるメディアであるというのも事実です。テレビのCMというチャンスをどう効率よく、またそれに加えてWebでどう最適化するのかというような世界を目指したいと思っています。そして色々な接点での技術開発、効果検証が今後求められると思います。
 
 
 
直接効果に近い広告効果を求められるディスプレイ広告
 
―動画広告領域でのデータ活用について、バナー広告とは異なる使われ方の可能性というのは、あるのでしょうか?
 
元嶋:バナー広告をはじめとしたディスプレイ広告では直接効果に近い広告効果を広告会社や広告主企業から求められることが多いです。一方で、動画広告は誘導だけではなく、そもそも動画を見せることをポイントとすることがあるので、それに対する最適なターゲティングを技術的に行うケースが増えています。取得するデータについても、例えば「動画が再生されただけなのか」、もしくは「最後まで見られたか」によってユーザーへの間接効果や認知など、どのような影響を与えるのかという点については見ていく必要があるため、弊社でも調査を継続して行っています。

 
 
―広告効果を測る上では、動画の方が取り扱うべきデータが多いということでしょうか
 
元嶋:そうですね。ディスプレイ広告と比べ、動画広告の方が注目すべきデータが多く、広告効果指標自体を再考する必要があると思います。どのようなデータを集めていくのか、どのようなデータが有効なのかなど、様々な要素・観点から調査をしている状況です。
 
中本:「クリエイティブに接触したことでユーザーの行動がどう変化するのか」という行動の推移をデータ化して、それをプロモーションに活かしていく上では、バナー広告よりは動画広告のほうが色々な影響を与える可能性があると思います。「動画広告には、接触したユーザーのほうがより検索をしている」あるいは、「広告主企業のページ内で回遊している時間が多くて逆にポテンシャルとしては高い」という結果も出てきています。ですので、動画に接触した後にユーザーがどう変化し得るのかというデータを貯めている状況です。
 
 
 
配信技術の統一性と独自性がカギに
 
―2017年の動画広告市場の展望をお聞かせください。
 
中本:プレーヤーが毎年増えていると感じていますが、徐々に需要やポテンシャルの面でプレーヤーは絞られてくると思います。広告主企業一社あたりの動画広告にかける予算は増えてきており、これは動画広告で得られる効果が実証されてきているためと思います。市場の予測もされているように動画広告は伸びてきていますし、私たちもその伸びを牽引するようなご提案ができるようにしたいです。
 
ナショナルクライアント企業の中には、何十ものパターンのクリエイティブを制作されていて、その中から効果のある組み合わせを追求しています。クリエイティブの運用も実験的に行われていて、CMをそのままWebで流すのではなく、Webならではの動画を有効的に配信して訴求する試みは増えていますし、弊社も取り組んでいきたい領域です。

 

 
元嶋:プログラマティックでの販売が進んでいるという話をしましたが、その中で配信技術についても統一性と独自性が出てくると思っています。プログラマティック取引においてDSP・SSP間で連携し、配信を行うからには、そのフォーマットの中である程度統一した仕様が必要になります。その中で弊社特有のフォーマットを持つという独自性を保つ必要があります。特に統一性の部分では、今年は業界内でも一定のルールが固まってくるのではないかと考えています。
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本記事はExchangeWireの記事、「国内デジタル広告市場をリードするDAC、キーマンが語る動画広告市場と業界の展望[インタビュー]」を編集したものです。オリジナルコンテンツを読みたい方は、こちらからご覧ください(link)。
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