2017.03.30

【トレンド振り返り・前編】デジタルマーケティングの最新事情/『マーケティングソリューション局』インタビュー

アドテクを中心として広告業界のトレンドについて発信をする『DAC AD TECH BLOG(アドテクブログ)』今回は前編・後編にて、2016年の取り組みを振り返っていただいたインタビュー内容をお届けします。前編は、テクノロジーを活用したデジタルマーケティングをトータルで提案している部門『マーケティングソリューション局』のチームリーダー阪口さんと西橋さんにお話を伺いました。

左:西橋、右:阪口
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マーケティングソリューション局の取り組み
 
―まずお2人の所属する「マーケティングソリューション局」がどのような取り組みをしているか教えてください。
 
西橋:一言で表すと、データを中心としたデジタルマーケティングにかかわる一連の業務を総合支援する組織 です。大きく「媒体社向き合い」と「広告会社や広告主向き合い」に分かれていて、私は媒体社向き合いを担当しています。
従来メディアレップとして行ってきたメディア枠の販売代行はもちろんのこと、それに限らず媒体社が持つデータの価値に注目して、新たなマネタイズモデルを提案することがミッションです。

デジタルマーケティングにおいて媒体社は、まだまだ自社で保持しているオーディエンスデータを活用しきれていません。そのデータの価値を再定義し、市場価値と収益性が高まるようコンセプト設計します。さらにそこからメニュー設計、効率の良いメディア販売を実現するプロダクト戦略、ソリューション導入までを一貫してサービス提供することを目指しております。
 
 
阪口:私は広告会社や広告主向き合いです。広告主様の保有している資産(データ)は、それ単独で使うよりも弊社が保有するオーディエンスデータと掛け合わることで、狙うべきターゲットをより精緻に可視化することができます。
 
現在のマーケティング戦略においては、ターゲットに対して最適なマーケティングコミュニケーションを図ることが重要となるので、その軸となるデータ集積・分析基盤の構築から、ソリューション導入、シナリオ設計までをトータルでサポートしています。DACがこうしたミッションに取り組む理由は、広告文脈だけではマーケティング施策の全体最適が図れなくなっている背景があります。広告主・媒体社双方の事業構造を理解したうえで、DACのテクノロジー・ソリューションと掛け合わせた最適な提案をすることが求められているということです。
 

 
 
 
キーワードは“データ統合”と“オフライン”
 
―それでは順にお伺いしたいのですが、媒体社との取り組みではどのようなトレンドがありますか?
 
西橋:媒体社においては、自社の資産である「データ」を統合してフル活用する、と言うトレンドが挙げられます。媒体社が保有するデータ(1stPartyData)は、それ単独ではユーザー情報を捕捉しきれません。そこで3rdPartyDataと統合することで、より精度の高いユーザープロファイリングが可能になります。こうして統合されたデータは、従来よりも活用の幅が増え、媒体社は様々なアプローチでマネタイズを強化することが可能になりました。
例えばPTD ※1で外部在庫を活用したワンストップの運用サービスを採用したり、収益性の高い純広の案件を創出するために「人」へのターゲティング配信によって広告主のニーズに応えたり、といった動きです。

なかでもWEBに留まらない新しい取り組みとして、オフラインとデジタルの融合によるマネタイズモデルが現れた点には注目ですね。ラジオ広告や屋外広告と、デジタルの精緻なデータ解析を組み合わせることでオフライン単独ではできなかったパッケージを実現できるようになりました。
 
弊社のケースで言えば、新しく「FlexOne APE (フレックスワン・エイプ)」というアドサーバーをリリースしました。これは、DACが自社で保有する膨大なオーディエンスデータと連携し、ユーザーの属性に応じた音声広告を配信できます。「インターネット×音声」という新たな形態の広告商品によって、媒体社の可能性を広げることができたと考えています。
 
※1 PTD(=Publisher Trading Desk)。パブリッシャー(媒体)の所有する会員データやユーザーアクセスデータなどの1 stPartyDataを活用し、パブリッシャー自身でキャンペーン配信・運用・レポーティング・改善策まで広告出稿におけるPDCAの運用をワンストップで行うサービス。
※2 DAC、音声による広告配信に対応したアドサーバー「FlexOne® APE」の提供を開始
 
 
 
―それでは次に、広告主・広告会社向き合の取り組みについて聞かせてください。
 
阪口:大きく、2つのトレンドが見られました。ひとつは、広告主の保有している自社資産(1stPartyData)と、外部データ(3rdPartyData)を連携することです。3rdPartyDataの活用と言えば、これまでは広告効果を上げるために活用することが中心でした。ここに1stPartyData と連携させることで、既存顧客のLVT向上やCRM領域など、全体最適にまで及んだ施策が打てるようになりますので、こうしたニーズは数多く見られるようになりました。広告領域に留まらずプライベートDMPやマーケティングオートメーション(MA)への連携を行うことで、顧客分析支援や、CRMシナリオの設計支援など、クライアントの事業成長に直結する成果に結びつけることができます。
 
もうひとつは、オフラインデータとオフラインチャネルの連携です。
マーケティングコミュニケーション活動自体はオンラインで完結しているものではありません。やはりユーザーの導線を考える上で、オンライン・オフラインに関係なくコミュニケーションを図る必要があります。今まで分離されていたオフラインでの活動も含めたうえで、統合的にデータドリブンマーケティングを推進していきたいというニーズが見られます。事例としては、郵便番号というオフラインのデータを活用した、高精度な居住エリアターゲティング ※3 が挙げられます。
 

※3 DACのDMP「AudienceOne(R)」と技研商事インターナショナルの商圏分析ツール「MarketAnalyzer(TM)」が連携。
  ターゲットエリア(郵便番号)の居住者に対するオンライン広告配信が可能に。

 
 
 
―向き合いは違っても、「データの統合」と「オンライン×オフライン」という大きなトレンドが共通しているんですね
 
阪口:はい。特に1stPartyDataと3rdPartyDataを連携させることは、広告主にも広告会社にも媒体社にも必須になると思います。プロモーション施策自体は以前にも増して多種多様になっているので、それをケースに応じて最適に調節することが求められています。つまり、多様な選択肢の中から最適なものを選ぶためには、その根拠となるデータを大量に・深く・精緻に分析することが必要になるんです。

 
 
 
デジタルマーケティングを導入するうえで“今”企業が直面する課題
 
―ではそうした傾向のなかで、顧客はどのような課題を抱えているのでしょうか
 
西橋:媒体社が「自社のメディアの価値をきちんと認識する」ということが根本的な課題ですね。
自社のサイトにはどんなユーザーが何を求めて訪問しているのか?つまり自社のメディアにはどんな価値があるのかを、媒体社自身が適切に理解することが重要です。
その価値を理解して初めて、自社メディアを効果的に売り込むことができ、データ統合などのプロセスはそのための手段であると考えています。
 
 
阪口:広告主の課題は「施策に取り組むうえでの評価の定義と運用体制の整備」ですね。データ統合やデータの活用範囲を広げる際は、中長期的な目線での評価が重要です。短期的な効果ばかり追ってしまうと、プロジェクト全体の採算性を把握できなくなるリスクがありますから。

トップダウンで中長期的な観測体制をもつこと、あるいは効果が明確になりやすい施策からスモールスタートし、ボトムアップでその施策の適正を判断していくなどのアプローチが考えられます。そのためにはまず、改善インパクトの大きい要素を整理・定義し、大きい要素からPDCAを回していくことがポイントですね。
 
 
―そうした実態を踏まえ、今後取り組むべきポイントになるものは何でしょうか?
 
西橋:データ活用のためのツールやソリューションを導入することで、媒体社は「人」にフォーカスして自社メディアを分析できるようになりました。今はその資産を、広告を通じてマネタイズすることが焦点となっていますが、いずれはそれをコンテンツにも反映させるようになると思います。それはまた新たなマネタイズモデルの形成に繋がると考えています。
 
阪口:昨年までは広告主の多くがこうしたデータ活用に取り組み始めた段階でした。ツールや運用体制などは整いつつあるものの、実用的にPDCAを回せている事業主様はまだ少数だと思われます。様々なケースにおいて、導入から成果までの一連のプロセスを確立するのが今年の課題ではないかと思います。
 

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阪口さん、西橋さん、ありがとうございました。
 
今回ご紹介した内容にご興味を持っていただいた方は、以下よりお問い合わせください。
 

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